
国土の3分の1を占める自然美の世界 ニュージーランド14の国立公園
Tongariro National Park
トンガリロ国立公園
北島中央に位置し、トンガリロ(1,967m)、ナウルホエ(2,291m)、ルアペフ(2,797m)と3つの活火山を擁する高原地帯。面積は約8万ヘクタール。1894年、ニュージーランド初、世界でも2番目の国立公園に指定された。1990年には自然遺産として、1993年には文化遺産としても登録され、国内唯一の世界複合遺産となっている。夏はトレッキング、冬はスノースポーツを楽しむ人々で一年中にぎわう。
(Quarter 2003春号より)

©Tourism New Zealand
トンガリロの名の由来――それは、この国立公園が世界「複合」遺産たるゆえんに大きく関係している。この土地が「自然美のみならず、文化的にも後世に遺すべき価値に富んでいる」と世界に認められたのは、先住民族マオリの聖地として、彼らの文化を伝え守る大切な場所であるからだ。口承により伝えられてきた、トンガリロにまつわるマオリ神話をたどってみよう。
昔むかし、この地に初めて足を踏み入れた勇者、ナトロイランギは、この山岳地帯を探検中に吹雪に遭う。凍死の危機にさらされながら、故郷の島ハワイキにいる妹たちに、火を送ってくれるよう必死で呼びかけるナトロイランギ。その声は、「南(トンガ=SOUTH)」へ「届き(リロ=GONE, RECEIVED, TAKEN)」、故郷の火は地下を流れてトンガリロの山腹に達した。そして凍える彼の体を温め、その命を救ったという。またその火が、道すがら各地に噴火口を残し、ロトルアの地熱地帯が生まれたとされている。
マオリの人々の信仰によると、こうした先祖伝来の土地は、彼らの所有物ではなく、神々の承認により人間が使うことを許された聖地。その地が発する熱も、神秘的なものとしてあがめつつ、温泉や暖房、調理など生活に役立ててきたのである。この一帯が今なお当時の自然を保っているのは、「英国連邦ニュージーランド」誕生時のマオリ首長、ツキノ4世の先見の明によるといえるだろう。将来、自分の子孫たちが入植者に土地を切り売りし、もはや聖地ではなくなることを予見した首長は、1887年、永久保全を条件にこの地を英国女王に譲り渡すことを決心したのだった。
数多くのトレッキングコースを持つトンガリロ国立公園の中でも、「ケテタヒ温泉」の一帯は特に重要な聖域とされており、1996年に立ち入りが禁止されるまでは、トランピング途中で温泉が楽しめる有名な場所でもあった。近年、入山者の増加やマナーの低下が問題となっており、この一帯だけでなくトンガリロ自体を入山禁止にしようという動きもある。山頂付近のクレーターやエメラルド色に輝く火口湖、ふもとの溶岩帯やタラナキ滝など、旅人たちを飽きさせることのない雄大な自然風景。この国、そして世界の宝をいつまでも鑑賞できるように、絶えずマオリの神々に敬意を払いつつ訪れたいものだ。
Tongariro National Park
▼交通
オークランドからファカパパ観光案内所まで車で約5時間、
ウェリントンから約4時間30分(電車、バス便もあり)
▼問い合わせ
Whakapapa Visitor Centre
Ph: 07-892-3729