
メジャー温泉から知られざる秘湯まで
ニュージーランドで いい湯だな
現在、全国で確認されている源泉数は約150。そう、ニュージーランドは知る人ぞ知る温泉大国なのだ。しかし、日本のように温泉ガイドブックがちまたにあふれているわけではない。ましてや、入浴施設として開発された温泉はほんの一握りにすぎない。日本ではほとんど死語に等しくなった「秘湯」という言葉が、ここではまだまだ現役だ。ニュージーランドで正真正銘の秘湯巡りを楽しんでみるのはいかがだろうか?
(Quarter 2003春号より)
Text/Photo by Ken Akiba
ニュージーランドの温泉の歴史は、人類の渡来とともに始まったといえる。14世紀ごろ、ポリネシアから渡ってきたマオリのアロワ族が上陸したのはベイ・オブ・プレンティだと言われている。やがてロトルアやトンガリロ地方に移り住んだマオリは、そこで盛んな地熱活動に目を付け、暖房や料理、治療などに積極的に用いるようになった。ロトルア周辺が一大温泉地であると同時に、マオリ文化を色濃く残しているのもそんな理由が関係している。
マオリの伝承にも登場するトンガリロのケテタヒ温泉は、現在も聖地の1つとして特別な敬意が払われている。マオリにとって温泉は生活の知恵であるのと同時に、畏敬の念を感じずにはいられない特別な存在だったのだ。
その後、ヨーロッパ人が入植してくると同時に、ロトルアの温泉町としての開発が始まった。観光ホテルが作られ、自然湧出以外の掘削温泉の開発も盛んに行なわれるようになった。このころ、政府はドイツの国際温泉保養地バーデン・バーデンなどに習い、ロトルアを国際温泉センターとして充実させようと、温泉療養の研究などに力を注いでいた。現在、観光地として有名なポリネシアン・スパも、もともとは温泉療養所として作られたものだった。同じく北島のテ・アロハや南島のハンマー・スプリングスも、当時の政府施策により整備された温泉である。しかし、結局は交通の便の悪さなどから、ロトルアは国際温泉保養地としては確立せず、温泉療法も衰退していくこととなった。
近年、観光資源としての温泉、地熱が再び注目され、新しくレジャー施設として温泉整備が進むようになってきている。今後も新たな温泉施設が増えていくことだろう。
現在ニュージーランドでは、約150の温泉が確認されているが、その多くは北島に集中している。温泉分布を見ると、特にトンガリロから東北方面に向かってベイ・オブ・プレンティまでの区間に集中していることが分かる。ここはタウポ火山帯と呼ばれ、地底で大地のプレートがぶつかり合っている最も熱活動が盛んな地域である。巨大な間欠泉や煮えたぎった泥の池などが、地熱の力をまざまざと見せ付けてくれる。北島で一番の観光スポットにもなっている場所だ。
これに対して、南島ではプレートの沈み込み帯が存在しないため、火山活動はほとんど見られない。それでも南島を縦に走るサザンアルプス周辺では、マルイア・スプリングスやハンマー・スプリングスなどいくつかの有名温泉が点在している。

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