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Interview vol.5

トライアスロン選手
堀 陽子さん
精神力と自己分析が勝負の鍵を握る

(Quarter 2001年冬号より)

友人に誘われたことがきっかけだった

 プロのトライアスロン選手として活躍されていますが、トライアスロンを始めたきっかけを教えてください。

 トライアスロンを始めたきっかけは、1990年の夏に大学時代の陸上部の友人から、滋賀県で行われる「トライアスロン駅伝」に参加しようと声を掛けられたことでした。私は中学から陸上部に所属し、主に中距離を走っていて、長距離の経験はありませんでした。また社会人になってからはトレーニングを怠っていたため、体力に自信がなかったのですが、とりあえず参加することにしました。ちなみにトライアスロンにはアイアンマンと呼ばれる長距離のものと、距離の短い簡単なものがありますが、私が初めて経験したのは後者の方でした。それでも体力的にかなりきつく、結果はボロボロでした。走り終わった後は、正直「もう、やりたくない」と思いました。しかしこのレースに参加するために購入した自転車のショップが、神奈川県の茅ヶ崎市にあり、その土地の雰囲気が気に入ったことと、そのショップに集まるトライアスロンの仲間たちとの交流から、彼らと一緒にトレーニングを始めるようになりました。

 仲間と共にトレーニングを開始してからしばらくして、参加したあるレースでは上位5位入賞という成績を収めることができました。それからは周囲の協力もあり、トレーニング内容をアドバイスしてもらいながら、国内のレースに参加し続けました。そのうちに、仕事とトレーニングの両立が困難になってきたため、トライアスロン関連のスポーツ用品会社に転職し、同会社にスポンサーになってもらいながらトレーニングに励みました。

 その後は「ジャパン・スーパーデュアスロン・シリーズ・チャンピオンシップ」での4年連続優勝、「ロング・ディスタンス日本選手権」2位など、日本国内のレースに参加して実力をつけながら、ニュージーランドやハワイなどでの海外レースに遠征するようになりました。

この国は楽しみながら練習できる要素が多い

 ニュージーランドのアイアンマン・レースに参加された経験をお持ちですが、このレースについて教えてください。

 1997年から毎年、ニュージーランドの「アイアンマン・トライアスロン」に参加しています。レース内容はまず水泳が3.9キロ、自転車が180.2キロ、そしてフルマラソンが42.2キロです。これはどのアイアンマンのコースも同じです。参加者は約1,000人でプロカテゴリーと一般カテゴリーに分かれており、男女入り交じって一斉にスタートします。私は去年までは一般で参加していましたが、今年からプロに転向しました。

 アイアンマン・トライアスロンの世界選手権である「アイアンマン・ワールド・チャンピオンシップ・ハワイ」は、毎年10月にハワイで行われます。その出場権を獲得するためには世界各国で行われるアイアンマン・レースで、規定される一定水準以上の成績を収めなければなりません。ハワイの大会に出場するために、ニュージーランドのレースにも世界中から多くのプロ選手が参加しています。日本からもプロ選手として活躍されている谷新吾さんが参加なさり、10位入賞を果たされました。私自身も5位の成績を収めることができ、ハワイ本選への出場権を獲得しました。

 ニュージーランドと日本ではトレーニング内容は異なりますか? どちらの国がトレーニングをしやすい環境にありますか。

 1997年にニュージーランドで行われたアイアンマン・レースに出場したことがきっかけで、同年12月に主人と2人でワーキング・ホリデー・ビザを取り、この国に住み始めました。日本にいた時はトライアスロン仲間と一緒にトレーニングすることが多かったのですが、こちらでは仕事の都合もあり、独りで行うことが多いです。でも、独りでのトレーニングは自分に対して甘えが出たり、トレーニング自体がマンネリ化してしまうので、時々ニュージーランド人の選手と一緒に練習します。今年行われたニュージーランドでのレース前には、ジョアンヌ・ローンとトレーニングをしました。彼女は以前テニス・プレーヤーだったのですが、今年からトライアスロンのプロ選手へ転向しました。この国のトライアスロン選手として有名なヘイミッシュ・カーターも以前はボートの選手だったようですし、キーウィは器用でチャレンジ精神が旺盛な人が多いみたいですね。

 トレーニングはオークランドのタマキ・ドライブ付近をランニングしたり、西オークランドのワイタケレや、コロマンデル地方の山道を自転車で走ったりしています。トレーニングをする環境は、日本よりもニュージーランドの方がいいですね。オークランドの澄んだ海やワイタケレの緑濃い山々を見ながら泳いだり走ったりしていると、ニュージーランドに住んでよかったなとしみじみ思います。こちらの人は自然の中にうまく溶け込んでスポーツを楽しんでいると思います。

 ちなみにトライアスロンに関する情報は、日本にいる時と同じようにこの国でもスムーズに入手できますので特に問題はありません。

ハワイの大会で上位15位入賞を目指す

 トライアスロンを続けていくことの厳しさ、また今後の目標を教えてください。

 ニュージーランドと日本以外で参加したのはハワイのレースですが、海外のレースは日本に比べるとレベルが非常に高いです。特にハワイのレースは各国で勝ち抜いてきた選手ばかりですから、競技全体がハイペースです。アイアンマン・レースは距離が長く、10時間以上体を動かし続けなければならないため、体力面だけでなく精神面の強さも要求されます。ハワイのレースでの上位10位の選手たちの多くが30代ですし、中には40代の人もいます。これは競技経験を積むことによって培われた精神力と自己分析が、この競技での大切な要素だからです。そう考えるとトライアスロンは年齢にこだわらず、いつでも挑戦でき、また長く続けられるスポーツだと言えます。

 私は現在33歳ですが、トップを目指すということを踏まえ、なおかつ自分の体力や精神力を考えると、ここ3、4年が勝負だと分析しています。今まで5回にわたり、ハワイのレースに参加してきましたが、去年の31位が私の最高記録です。今年はぜひとも上位15位以内に入りたいですね。ハワイでのレースの足慣らしとして、6月には韓国のアイアンマン・レースに参加する予定でいます。

 今年の3月に永住権を取りましたので、これからもこの国を拠点に、世界各国のレースに参加するつもりです。ナビ・ニュージーランド社で日本人観光客を対象としたアウトドア・ガイドもしていますが、今はプロとしてトライアスロンに主な時間を費やしています。将来はガイドの仕事とプライベートをきっちり分け、家庭を大事にするキーウィたちのような生活を送りたいですね。

(2001年4月23日、オークランド、パーネルのMink Cafeにて)

Yoko Hori

ほり・ようこ●1968年2月17日生まれ。33歳。東京都出身。1990年から国内外のレースに参加。世界選手権である「アイアンマン・ワールド・チャンピオンシップ・ハワイ」には過去5回出場。昨年の同レースでは女子の部で31位の好成績を収める。今年からプロに転向し、3月にニュージーランドで行われた「アイアンマン・トライアスロン」で5位入賞を果たした。

この記事は「Quarter 2001年冬号(Issue 5)」に掲載されたものです。記載されているデータ・情報は全て掲載時のものとなっております。予めご了承ください。

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