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ニュージーランドの生活情報

知らなきゃ損、損!NZ税金講座 第2回

企業家のための税金に対する予備知識

企業家にとって会計処理や税務処理はなかなか厄介なもの。特に会社の設立となると弁護士や会計士にすべてを委託するケースが多くみられます。しかし、企業家自身もこれらに関する最低の知識があるに越したことはありません。今回は会社経営者、またこれから事業を興そうという人のための税金講座です。
(Quarter 2001年夏号より)

企業経営に関わる税金あれこれ

 ニュージーランドの居住者は、この国の国税局にあたるIRD(Inland Revenue Department)からIRDナンバーを取得し、各種の税金を納めなければなりません。IRDナンバーとは、納税義務者の背番号のようなものです。一般に私たちの認識ではニュージーランドの居住者というと、労働ビザや永住権などの長期ビザを持っている人と考えがちです。しかしビザの種類には関係なく、年間183日以上滞在すると納税居住者とみなされ、税金を納めなければなりません。例えば学生ビザ保持者でも居住者と同じ19.5%〜39.0%の税金が課されますので注意してください。

IRDナンバーの取得方法

1. IRDナンバー取得

 会社を設立したら、まず最初にIRDナンバー取得の申請を行います。会社の設立を弁護士や会計事務所に依頼すると、IRDナンバーも同時に取得してもらえます。この申請には「Non-Individual Application for IRD Number(IR595A)」というフォームを使います。取得には通常2〜4週間かかりますので、余裕を持って申請しましょう。

2. GST

 GSTはニュージーランドの消費税を指し、Goods and Services Taxの略です。ニュージーランドにGSTが導入されたのは1986年からで、最初は10%でしたが、1989年からは現行の12.5%となっています。事実、GSTによる収入は、ニュージーランドの国家予算の20%を占めています。それではこのGSTは企業活動にどのように関わってくるのでしょうか。

 この国で商業活動をする場合、年商が4万ドルを超えると、IRDにGST登録をする義務があります。ちなみにこの額は、2000年10月1日より変更になり、以前の3万ドルから引き上げられました。ちなみに年商が4万ドル以下の場合は、任意登録となっています。

 ここでGST登録をした場合と、しない場合の例を挙げてみましょう。

 GST込みで90ドルの支払いをした場合、GST登録をしていない会社では経費は全額の90ドルとなります。GST登録をしている会社の経費は80ドルとなり、差額の10ドルがGSTです。これはGSTを末端消費者が支払うものであり、中間の商業活動をしている者(会社)は免除されるという意味です。

 GST登録をするとIRDに申請をする義務が発生してきます。登録をする際には、GSTの計算方法と納税期日を選択することになります。計算方法にはPayment Basis、Invoice Basis、そしてHybrid Basisの3種類があります。また納税期日は毎月、隔月、半年から選択します。どの方法や期日が会社にとって有利であるか、選択する際には注意してください。またこの申告を怠ったり、遅れたりすると、ペナルティーとして追徴金が課せられる場合があります。

3. PAYE (Pay As You Earn)

 源泉徴収税のことで、経営者本人や従業員に給料を支払うと、企業はその給与所得に対する税金を納税する義務が発生します。まず従業員(経営者が含まれる場合もある)に対しを雇う場合、「Tax Code Declaration (IR330)」というフォームで各従業員の税金コード(Tax Code)を決定します。このフォームは従業員が退職した後も7年間の保管義務があります。経営者は必ずこれらを安全な場所に保管するようにしてください。

 PAYEの年間合計金額が10万ドル未満の企業の場合、PAYEの納税は毎月20日となり、この時に使用するフォームに、「Employer Deductions’(IR345)」と「Employer Monthly Schedule(IR348)」があります。

 PAYEの計算は、IRDから「PAYE Deduction Tables(IR340またはIR341)」という冊子を入手し、計算をします。この冊子は給料の支払い方法(週給、月給など)により異なりますので、該当する冊子を入手してください。

 一方、PAYEが年間10万ドル以上の企業は「Electronic Filing」というシステムでの支払いとなり、IRDのウェブサイトからの支払い方法の指示を受けます。ちなみにこの場合のPAYEの納税は、毎月5日と20日の月2回支払うことになっています。

4. 決算と法人税(Income Tax)

 この国の法人税は33%です。これは会計年度で出た利益に対する税率ですので、年度末決算の数字を基に計算されます。通常、会計年度は特に指定がなければ、日本と同様、毎年4月1日から3月31日の期間となります。決算では、個人企業(Sole Trader)は「IR3」、パートナー会社(Partnership)※は「IR7」、株式会社(Company)は「IR4」というフォームで申告します。いずれも申告期日は、毎年7月6日となります。

 企業発足後2年度目からは、前会計年度に支払った所得税を基に計算された金額を上乗せしたProvisional Tax(前払い法人税)を支払っていかなければなりません。これも申請し忘れると、多額の追徴金が課せられます。ただし、前会計年度で支払った法人税が2,500ドル以下の場合は免除されます。

※パートナー会社(Partnership)
2人以上でビジネスを組織する形態。個人企業同様、負債などの責任はパートナー全員で分担する。(詳しくは弊誌2000年春号をご参照ください)

5. そのほかの税金

 そのほか企業活動をしていて注意するものに、交際費(Entertainment)があります。通常、交際費は50%を経費と認められますが、その性質によっては100%すべてが経費として認められるものもあります。この判断は少々複雑なため、会計士などの専門家に問い合わせる必要があります。自分勝手に判断することで、脱税につながる可能性が生じますので注意してください。

 また交際費に付随してくる税金にFBT(Fringe Benefit Tax)があります。これは日本の「福利厚生」に近いもので、会社が従業員の生命保険や医療保険、ゴルフの会員権などを支払う場合を指し、社用車を従業員に与える場合などもこれにあたります。税率は2000年4月1日より64%となり、会社は年に4回、FBTを国税局に支払います。

6. 会計監査は必要か

 個人規模の企業では、法律で公認会計士による会計監査が義務づけられていないので、個人で経理処理をすることは可能です。しかし税務処理を間違えると、IRDから罰金や追徴金が課せられたり、最悪の場合は脱税として起訴されますので注意してください。

 税法はしばしば変更される傾向にあり、英語での専門用語からくる言葉の問題などもあるため、会計事務所などに依頼するのも1つの方法でしょう。

矢野善之(やのよしゆき)

日系海外ホテルで、ファイナンシャルコントローラーとして会計業務に携わった経験を生かし、ニュージーランドにビズワールド社を設立。ビジネス・コンサルティング、留学、ガイド派遣業務を行っている。

この記事は「Quarter 2001年夏号(Issue 3)」に掲載されたものです。記載されているデータ・情報は全て掲載時のものとなっております。予めご了承ください。

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