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ニュージーランドでMy Business-日本人起業家に続け-

自然とアートが調和するワイヘキ島で
一流の作品を展示しています

Green Gallery 代表 伊東 和子さん

伊東 和子さん

●氏名:いとう・かずこ/1944年5月25日、東京都生まれ/A型
●趣味:ウォーキング、水泳
●座右の銘:Do my best, but it must be first class
●ビジネスの歩み

  • 1968年 日本で薬科大学を卒業後、助手を経て、ドイツのボン大学大学院へ留学
  • 1969年 ドイツから帰国後、製薬会社に就職
  • 1976年 4歳半の息子を連れてイギリスのブラットフォード大学大学院へ留学
  • 1977年 イギリスから帰国後、製薬会社に就職
  • 1991年 東京でギャラリーを経営する成憲さんとの再婚を機に退職、ギャラリー経営に携わる
  • 1999年 ワイヘキ島を初めて訪れ、ギャラリー経営を決意
  • 2001年 長期ビジネスビザを取得してワイヘキ島に移住、「グリーン・ギャラリー」設立
  • 2005年 永住権を取得、オークランド工科大学で経営学を学ぶ
  • 2006年 オークランド博物館に多数のコレクションを寄贈、個展を開く

 一流品へのこだわり、直感で決めたワイヘキ島での起業

 2006年12月、オークランド博物館に日本人から多数の陶芸コレクションが寄贈された。盛大なオープニングには、オークランド市長や総領事をはじめ、日本やローカルのメディア、そしてコレクションをひと目見ようと国内外から陶芸家が駆けつけた。

 「ニュージーランドの人々に一流の作品を見てほしいという願いがやっと叶いました」と寄贈の理由を語る伊東さん。リタイアされたご主人のアドバイスを受けながら現在、ワイヘキ島でギャラリーを経営している。

 オークランドからフェリーで35分のワイヘキ島は、国内有数のワイン産地であり、豊かな自然に魅せられたアーティストが多く住む「アートの島」でもある。伊東さんは、自宅のガレージを改造した「グリーン・ギャラリー」で、世界各国の陶器を中心に写真や絵画など、アート全般を扱う。

 条件はただ一つ、「一流品であること」。

 「有名だから一流ということでは決してありません。本当に一流の作品からは作り手の気持ちが伝わってきます。生きる勇気をもらえるのです」と、薬剤師からギャラリー経営へ転換した経緯を話す。

 突然の癌でご主人を亡くした後、子どもを育てながら「病気の人を助けたい」という一心で医薬品の開発に携わってきた。医学は進歩しても病人が減らない矛盾を感じていたとき、現在のご主人が経営する東京のギャラリーで陶芸と出会う。「こんなふうに人の心を癒せるアートに関わりたい」と、結婚を機に、医薬品開発からギャラリー経営へと転職。

 東京のギャラリーが25周年を迎えた1996年に海外進出を考え始めていたが、ニュージーランドでの起業は偶然だった。ワイヘキ島に住む知り合いの陶芸家を訪ねた際、散歩中に売り出し中の住宅の看板が見えたので、軽い気持ちで車道を上がってみた。目の前に広がっていた美しい海岸線と深い緑を見て、直感で「ここにギャラリーを開こう」と決意した。

一つ一つの作品を丁寧に説明するのも仕事
一つ一つの作品を丁寧に説明するのも仕事

移住とギャラリー経営のきっかけとなった景色移住とギャラリー経営のきっかけとなった景色

夏になると島の人口が急増するリゾート地、ワイヘキ島夏になると島の人口が急増するリゾート地、ワイヘキ島


 自然に囲まれたスローな島でギャラリー経営

 スローな時間が流れるワイヘキ島。誰もがうらやむ環境が、ビジネスには大きなハードルだ。

 自宅のガレージをギャラリーに改造する工事を依頼したが、進行具合を見て伊東さんの不安は日増しに大きくなっていった。「こちらはビジネスとしてやっているのだから1日でも遅れたらパンフレットなど用意していたものが無駄になります。とにかくオープンに間に合わせることを最優先して策を練りました」。

 早く終了したらボーナスを1日NZ$100、遅れたらペナルティーを1日NZ$50というルールを設け、スケジュール通りに進むよう業者にプレッシャーをかけた。スケジュール通りに終わるかと思った矢先、特注の窓枠が注文通りに上がってこない。結局、数日遅れることになりペナルティー代の請求となったが、約束通りの支払いを渋る相手に異国での起業の辛さを感じた。

 何とかオープンしたものの、ギャラリー経営は利益を生むことが容易でない。市場の小さいニュージーランドではなおさらだ。日本ではファンが殺到する著名な作家の作品も、物価の低いこの国では同等の値段で売れない。

 陶芸に対する歴史や文化の違いも大きい。「日本では料理に使うお皿のように生活の一部になっている陶器も、この国では買わずに見て楽しむものなんです」。

 それでも伊東さんは、この国でアートに携わっていることを誇りに思う。著名な男性陶芸家だけが取り上げられる日本とは異なり、国を挙げて芸術産業を援助しているニュージーランドでは、特に若手アーティストの育成に積極的だ。たくましく活躍する女性陶芸家に刺激を受けることも多い。

 「自然とアーティストの作品がうまく調和しているこの場所で、ギャラリーをずっと続けていくのが夢」と語る伊東さん。偶然が生み出したこの国での起業は、運命だったのかもしれない。

ニュージーランドで起業を目指す日本人へのアドバイス

現在は、夏らしく白をモチーフにした作品を展示中現在は、夏らしく白をモチーフにした作品を展示中

 起業に欠かせないビザの申請ですが、移民法が頻繁に変更されます。英語の条件など、ポイントを常にチェックしておく必要があります。年齢が高いと不利になると心配される方も多いようですが、自分の経歴が認められれば大丈夫です。私たちが長期ビジネスビザを取ったとき、初めの3年間、1年ごとに純利益をNZ$3万上げることが条件だったので、展覧会を4年間で40回、と頻繁に開きました。また、この国は資本金NZ$100で会社を設立できるほど、起業は簡単です。しかし、日本とは異なる文化の違いなど戸惑うことも多くあります。続けていくには自分の目標を常に認識しておくことが大切です。

2007年1月 文・写真:田口 結香(Japan Media Creations (NZ) Co., Ltd.

会社の概要

Green Gallery
住所/20 Cory Rd., Pam Beach, Waiheke Island, Auckland
(フェリー乗り場から2番のバスで約10分)
電話:09-372-2891
ウェブサイト:www.greengallery.co.nz


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