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環境と健康を考えた住まいをつくり、
その利益を社会に還元したいんです
breeze & trees Ltd. 取締役社長 小林 純一さん

●氏名:こばやし じゅんいち/1952年12月3日、神奈川県生まれ/A型
●趣味:カヤック、キャンプ、スキーなどアウトドア全般、写真、日曜大工など
●座右の銘:「私たちは知性ではなく心によって、考える力ではなく愛する力によって人間になる」(キリスト教の黙想家、ヘンリー・ナーウェンの言葉)
●ビジネスの歩み
北島中央部の街、ハミルトンに居を構え、環境住宅と羊毛100%断熱材の輸出に携わる小林純一さん。「ビジネスを始めたのは、環境と健康を考えた住まいづくりを手伝い、その利益を社会のために還元したかったからです」と語る。
製品に使う羊毛の品質を丹念にチェック
小林さんは、「シックハウス症候群」という言葉が広まる前から、合板などの建材に含まれる接着剤が住人の健康を害する危険性を訴えていた。だが当時の日本に、耳を貸す人はほとんどいなかったという。ニュージーランドに移住し、環境や健康を考えたハウスキットを日本に紹介しながら、羊毛断熱材の研究も始めた。
「ヨーロッパやニュージーランドには、ポリエステル混紡の羊毛断熱材がありましたが、羊毛だけで製品化するアイディアと技術はなかったんです」。そんなある日、長尾商事という羊毛輸入業者の社長から突然の問い合わせがあった。「ニュージーランドでユニークなことをやっている会社を探していて、御社のウェブサイトを見つけました」――そして、羊毛100%断熱材の共同開発が始まった。
ビジネスパートナー、長尾商事のスタッフと
「技術開発だけで約6年間かかりましたね。クライストチャーチの羊毛研究所を訪ね、断熱材の製造会社を見学しましたが、人口の少ないこの国では、設備投資額の大きいエコ製品の生産にビジネス・チャンスがあることが理解されませんでした」。
やっとの思いで開発した後も、生産工場を探して一苦労。「ニュージーランドと中国の工場を数十軒は視察しました。設備が古かったり、品質管理者がいなかったり、ニュージーランド人の得意文句『No problem』を信じて痛い目に遭ったこともあります(笑)。最終的に、日本で条件に合う工場を見つけて生産に漕ぎ付けました」。
ハミルトン市主催による、さいたま市商工会議所メンバーとの親睦パーティーで。異業種ネット交流の一つ
そして去年1月、構想10年の夢がついに実現の日を迎えた。「エコール」の発売だ。保温・調湿の機能についてはもちろんのこと、シックハウス症候群の原因となる揮発性有機化合物(VOC)の吸着力も、ポリエステル混紡の断熱材よりはるかに優れている。価格は一般断熱材の2〜3倍だが、健康住宅への関心が高まる日本では、複数の工務店と契約を結び、好調なスタートを切った。
小林さんは現在、長尾商事と提携し、製品ごとに適した羊毛を共同研究・開発するほか、ニュージーランド生活体験ステイ、企業・語学研修の企画も行う。また、今年11月には「エコール」宣伝のため、日本最大のホームショーに自ら出展する。近い未来には、「エコール」をカナダ方面に輸出することも考えているという。
この成功について、小林さんはどこまでも謙虚だ。「信頼できるビジネスパートナーの長尾社長、私のために難しい英語資料を翻訳してくれる伴侶、彼らの存在なくして実現はありえませんでした」。
一つの作品を完成させた今、新しいヴィジョンを求める小林さんの中で、時間はいつも以上に、ゆっくりと、流れているに違いない。
ニュージーランドで起業を目指す日本人へのアドバイス
羊毛100%断熱材「エコール」の広告
これまで、ビジネスに対する双方の認識不足が、誤解や失敗につながったこともありますが、ニュージーランドと日本との考え方や習慣の違いを理解することによって、少しずつ改善されてきたようです。現在の仕事では、羊毛の検査や輸出に関わって、さまざまな業種の人たちと出会います。そこで信頼できる異業種ネットワークを広げながら、独創性のある企画や製品を見つけることが大切だと思っています。
(2006年9月 文:島村 知美(Japan Media Creations (NZ) Co., Ltd.)
会社の概要
breeze & trees Ltd.
住所:PO Box 12377, Hamilton
電話:07-855-0091
ウェブサイト:www.breezeandtrees.co.nz
長尾商事(株)のウェブサイト:www.nagao-shoji.co.jp