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見ていて心が和む本物の日本庭園を
ニュージーランドに造り続けていきたいですね
Tick Tack Ltd. 代表 武田 徹さん

●氏名:たけだ・とおる/1963年3月3日、兵庫県生まれ/O型
●趣味:カフェでゆっくりくつろぐこと、ウィンドサーフィン
●座右の銘:吾唯足知(われただ足るを知る=自分が満ち足りた状態であることを知る)
●ビジネスの歩み
オークランド郊外の邸宅で造園中の武田徹さんを訪ねた。「かみさんが英語翻訳家で、もっと英語を話せるようになりたいと希望していたので、13年前に結婚したときから、いつか二人で海外に住もうと決めていました」と、移住のいきさつを語る。
竹材が優雅な曲線を描く、オリジナルデザインの花壇造り
ニュージーランドを選んだのは、英語圏の中で永住のチャンスが一番ありそうだったから。渡航後しばらく、武田さんは英語学校に通いながら、永住への道を切り開く夫人を支えて家事と育児に徹した。この国では、こうした女性主導型カップルも珍しくない。また国鳥キーウィは、種によってオスが卵を温め、育児にも専らかかわるというが、夫人の産休はたったの1カ月間。武田夫妻はこの点で真の「キーウィ夫婦」といえるだろう。
娘さんが1歳になると同時に、ニュージーランドの造園会社に就職した武田さん。英語の指示を聞き間違えたり、言いたいことを説明できなかったりする自分に歯がゆさを感じながら、この国の造園手法を学ぶ日々が続いた。一級造園施工管理技師、一級土木施工管理技師という日本の国家資格、一億円規模の公共公園プロジェクトで工事監督を務めた経歴も、言葉の壁を前にして威力半減だった。
水を打つと美しさを増す通路は、広い庭園への入り口
そんな折、夫人が「何か家で出来る仕事を探してみたら」と持ちかける。武田さんは、得意のコンピューターを使う仕事をはじめ、新しいビジネスを考えては夫人に相談。しかし、どれにもいい返事がない。ある日、冗談交じりで「もともとやっていた造園はどうかな」とつぶやいたところ、意外なことに「お父さんの好きな仕事なんだから、やってみれば」と夫人。
「家ではできない仕事だし、トラックや道具の購入など資金の問題も山積み。『オイほんとにいいのか?』といぶかりつつ、竹や石、木材などの仕入れ先を探して試算したら、悪くない数字が出たんです。それまで自分で造園会社を経営するなんて考えてもいなかったのに、運命だったのかもしれませんね」と明るく笑う武田さん。広告を出したり、自分でウェブサイトを立ち上げたりしながら、口コミを中心に問い合わせや注文は少しずつ増えている。
最近完成させた庭園には本格的な蹲(つくばい)も置いた
「お客さんの9割はニュージーランドの人で、『石と燈籠(とうろう)を置けば日本庭園が完成する』と思っているんです。石や木の置き方、庭木の剪定などの繊細さを分かってもらうのが大変ですね。洋風の家とのバランスを取ることも大事。もちろん、お客さんに満足してもらうのが第一ですから、図面を書いて相談しながら工事を進めています」
そんな武田さんの抱負は、日本人の発想ならではの心和む庭園を造り続けること。「自分の作品を見て、『うちの庭にもこんなスペースがほしいな』と思ってくれる人が増え、日本庭園の良さがこの国に広がっていくなら、こんなにうれしいことはありませんね」と、穏やかに語ってくれた。
ニュージーランドで起業を目指す日本人へのアドバイス
造園経験の豊富なアシスタント村田正和さん(左)とは絶妙のコンビ
起業するとき一番大事なのは、競争相手をリサーチした上で、会社の特色をどこに持ってくるか、ということではないでしょうか。例えば、ガーデニングの盛んなこの国には、造園業の競争相手がたくさんいます。「日本風ガーデン」を作る会社もいくつかありましたが、私が見た限りでは、センスやバランスの点で本来の日本庭園からは程遠いものがほとんどでした。そこで、私は「本物の日本庭園を造ること」を会社の特色にしようと決めました。
(2006年8月 文・写真:島村 知美(Japan Media Creations (NZ) Co., Ltd.)
会社の概要
Tick Tack Ltd.
住所:32 Zefiro Dr., Massey, Auckland
電話:09-832-6468
ウェブサイト:www.ticktack.co.nz