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ニュージーランドのアクティビティ

海へ!
Surfing 「Go with the flow... 海とひとつになれる時間」

四方を海で囲まれたニュージーランドでは、国内の至るところで美しい海やビーチの光景に出合うことができる。サーフィンに適した波、自然美を堪能できるビーチ、そして深海に潜む無数の生物たち。海の持つ魅力は計り知れない。サーフィン、ダイビング、シーカヤックー ニュージーランドの海に魅せられた者たちはそれぞれの方法で母なる海と一体になろうとする。あなたもその一人になれる。海がそこにある限り。
(Quarter 2004夏号より)

Text by Kosuke Kunisawa

©Rowan Klevstul(Surfer:Michael Phillips)

 「波が上がってきたから、仕事を適当に切り上げて夕方から海へ……」

 こんなことをメールで日本の友人に伝えると、決まって同じような答えが返ってくる。「夢のような生活」。NZに対する彼らのイメージは、想像の中で大きく膨らみ、各々が持つ理想のサーフ環境とオーバーラップするようだ。会社帰りのサーフィン。夜8時過ぎまで充分に明るい10月〜3月のサマータイムの時期、NZのサーファーにとってはごく当たり前のライフスタイルなのだが、友人たちには間違いなく「波乗り天国」と映るらしい。

 昼休みにインターネットで波情報にアクセスし、スウェル※1のサイズ、風向きなどをチェック。あらかじめサーフボードを積み込んである車で会社を出る。ハイウェイの渋滞を抜け、眼下に広がるビーチを眺めながらワインディングロードを通り目的のポイントに到着。馴染みある笑顔から、その日の波の状態が容易に予想できてしまう。サーファーというのは比較的分かりやすい人種なのだろうか? パワーのある波をドルフィンスルー※2でくぐり抜けて沖にパドルアウトするころには、先ほどまで没頭していた仕事のことなど、いつの間にか頭の片隅から消えているのである。

ニュージーランドの波

©Kosuke Kunisawa

 面積は日本の約7割。島国であるNZは、東の太平洋と西のタズマン海に挟まれ、変化に富んだコーストラインを持つ。NZの東海岸は、一般的に熱帯性低気圧からの北うねり、または南氷洋からの南うねりを受け止め、クオリティーの高い波がブレイクしやすい。ただし、海岸の向きによって波のまったくない状態が続くこともある。一方、西海岸はかなり高い確率でサーフ可能だが、ラグラン※3など風をかわせるポイントを除き、風の影響を受けやすい。ただ潮流や潮位の変化からパワフルな波が立つことで知られており、風やうねりの向き、潮汐などのコンディションが決まれば、世界のサーフィン雑誌でも取り上げられるほどのポテンシャルを持つ。

キーウィたちの海への深い思い入れ

 サーフィンをはじめマリンスポーツの浸透度は、日本のそれとは比較にならないほど高い。ヨットレースの最高峰、アメリカズカップにおける2度の優勝をはじめ、オリンピックでも2度優勝の快挙を成し遂げたウィンドサーフィンのバーバラ・ケンドル、カイトサーフィンで世界を征した若手のシンディー・モーズィーらを輩出したこの国のマリンスポーツの底辺は広い。キーウィたちは子どものころから近くのビーチでディンギー※4クラスのヨットレースに励み、自然な形で海と関わっていく。日本でマリンスポーツというと「特定の年齢層が楽しむもの」という認識が往々にして存在するが、ここでは子どもから年輩者まで、すべての人にとって海は「Play Ground=遊び場」なのである。

「耳に心地良い」だけでないサーフィンの一面

©Go Sugimoto

 ハワイ、ゴールドコースト、リゾート、夏、白い砂 ── サーフィンを連想するキーワードは、共通してどれも耳に心地良い。またスポーツとしてではなく、サーフィンのファッション性や文化といった側面がクローズアップされることも少なくない。しかしながら、実際このスポーツには多くの危険が伴うことを常に心に留めておく必要がある。特にNZの海は、潮位や潮流の影響で非常にパワーのある波が立つ。また、安全のためにルールやマナーを守ることも大切だ。言葉の問題をはじめ、日本人サーファーとローカルたちとの間に問題が生じることもまれにあるようだ。ビジターとして各ポイントのローカルたちを尊重し、海を共有するという姿勢を持つこと。これさえあれば、より充実した時間を安全に楽しめるのではないだろうか。理想のマリンスポーツ環境を持つNZ。サーフィンに対するキーウィたちの深い思い入れ。大海原に向かってパドルアウトすれば、その理由がきっと分かるはずだ。

 「今年の夏は、ぜひNZでサーフィンにチャレンジしてみるよ」新たに届いた友人のメールからは、まだ見ぬNZの波への強い期待感が感じられた。

※1 スウェル●波が崩れる前の、水が盛り上がって移動している状態。うねりともいう
※2 ドルフィンスルー●パドリングしながら沖に向かうときに、サーフボードごと体を沈めて、波に押し戻されないようにするテクニック
※3 ラグラン●北島西海岸に位置するサーフ・ポイント。南からのグランドスウェル(低気圧などで生じる大きなうねり)がやってくると国内で1、2を争うほどのハイクオリティーな波がブレイクする
※4 ディンギー●小型のヨット

RULES & MANNERS
NZの波を共有するために

 一般的にサーフィンのルールやマナーは世界共通。サーファーの世界では、1本の波に乗れるのは一人だけという「One man, One wave」と呼ばれるルールがあり、先に波に乗っている人がいる場合、途中から割り込むこと(ドロップインまたは前乗り)は許されない。ドロップインは、すでにライディングしているサーファーの波を崩してしまう上に、接触する危険性が極めて高い。また、視界から消えやすいボディーボーダーにも注意したい。ドロップインしたサーファーのボードがボディーボーダーの顔の位置にくるということを心に留めておこう。人と波を競うのではなく、同じ海を愛する者同士、譲り合いの精神をもって波をシェアしたいものだ。

国沢 考祐

オークランド在住。本職である翻訳業のかたわら、波乗りに人生を捧げるプロサーファー顔負けの腕前の持ち主。サーフ・ツアー企画、撮影コーディネート、情報系ウェブサイト運営等を行うサーフコーディネーターでもある。http://www.naminori.co.nz/

この記事は「Quarter 2004夏号(Issue 15)」に掲載されたものです。記載されているデータ・情報は全て掲載時のものとなっております。予めご了承ください。

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